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篝　　　火　　　　　　　　　　　　　岐阜県自閉症協会頁へ

平成２９年の活動

　　　　　 星屑を梢に捉へ青樹めく　　　　　　　　 郁　也

　　　　　 「友よさらばではない」とあり年賀状　　 渚　女

　　　　　 寒風に寸草なびくか抗ふか　　　　　　　 不　如

　　　　　 団栗を埋け子ども等の秘め事と　　　　　 郁　也

　　　　　 見晴らかす大都市越えや雪の富士　　　　 秀　子

　　　　　 かもしれぬと投函控ふ年の暮 一　士

平成２８年の活動

１２月 初冠雪珠子の富士はマグマの赤　　　　　　渚　女

　　　灯台に小春の海の円かなり　　　　　　　　不　如

　　　　　 熱燗に浮かれてしまふ子と酌みて　　　　　秀　子

　　　雪ばんば余生は日々を漂ひつ　　　　　　　一　士

　　　吾が生の片道切符朴落葉　　　　　　　　　郁　也

　　　丈六の薬師如来や萩の風　　　　　　　　　斉

１１月 外灯の切れそうなるに綿虫来　　　　　　　秀　子

　　　　　 いっせいに蜻蛉発たしむ天狗山　　　　　　渚　女

　　　　　 稲稔る駅の名「吉備真備」といふ　　　　　不　如

　　　　　 仲直りしたき二人よ杜鵑草　　　　　　　　郁　也

　　　　　 君の名は。思ひ出したか三日月に　　　　　斉

　　　　　 さやり子らさつま芋掘るみな笑みて　　　　一　士

１０月　　 新涼や異人「どうぞ」と道譲る　　　　　　不　如

妣拗ねて歩みゆく日の土手の萩　　　　　　渚　女

あのおしやま老ゆれど多弁尉鶲　　　　　　郁　也

セーターを腰に巻きたる若教師　　　　　　斉

月今宵過疎の村むら照らされよ　　　　　　秀　子

咳やめば噴きあぐごとく虫の声　　　　　　一　士

九月　母残すマッサージ器の座ちちろ虫　　　　　秀　子

夏に耐え草とる時の哲学よ　　　　　　　　不　如

茄子漬や艶を茶膳のごとく白磁に盛る　　　一　士

満月を掠めゆくもの宇宙船　　　　　　　　渚　女

夜長読む戦艦武蔵時計鳴る　　　　　　　　斉

「おおきに」にこたふる涙星月夜　　　　　郁　也

八月　少年の気位少し敦盛草　　　　　　　　　　渚　女

寅さんの俳句宜しき敗戦忌　　　　　　　　斉

炎昼のわが影畏れ縮こまる　　　　　　　　一　士

　　　　　　　 背泳ぎの怖し孤独に沈みそう　　　　　　　郁　也

　　　　　　　 熱帯夜の地球儀少し傾けり　　　　　　　　秀　子

卯の花や検校爪弾く琵琶に痕　　　　　　　不　如

　　　 七月　 太陽の塔万緑を突き抜ける　　　　 不　如

あぢさゐの青をつくして水迅し　　 渚　女

円形に並べ夏座布団の四角　　　　 斉
　　　
和らぎて少し淋しき蓮の花　　　　 一 士
　　　
杏ジャム配る思案の妻横目に 郁 也
　　　
少年工溶接の火花散らす夏　　　　　　 秀　子

六月　 竹皮を脱いで少年発ちにけり　　　　　　　 秀　子

　　　 老い難し夏うぐひすの一声に　　　　　　　 渚　女

　　　 鮎匂ふを知らぬは人工知能かな　　　　　　 斉　子

　　　 緋牡丹の崩れてエディット・ピアフかな　　 郁 也

　　　 大鷺の二弾みして苗田に立つ　　　　　　　 一 士

　　　 日没の岩鼻に立つ孕み鹿　　　　　　　　　 不　如

五月　 太陽の塔万緑を突き抜ける　　　　　　　　 不　如

　　　 専業の主婦ともならず芥子ひらく　　　　　 渚　女

せせらぎの主婦ともならず芥子ひらく　　　 郁　也

　　　 観音のまなざし届き藤ゆ揺るる　　　　　　 秀　子

　　　 子は二人子ども神輿は勇ましく　　　　　　 一　士

　　　 大井宿三代守る花の楼　　　　　　　　　　 斉

四月　 満開の桜揺るるか地の揺るか　　　　　　　 郁　也

　　　 ミモザ咲き歯科女医の所作香り来る　　　　 秀　子

　　　　 強き葉に枇杷の新芽の白く立つ　　　　　　 不　如

　　　　 四月馬鹿聖火台なしの設計図　　　　　　　 一　士

　　　　 赤貝の舌出し切って四月馬鹿　　　　　　　 さよ子

　　　　 晩年のモネ睡蓮は荒描きで　　　　　　　　 斉

三月　　啓蟄の天空にある城址かな　　 　　　　　 渚　女

　　　　 鳥落ちる天空に冬抜け落ちて　　　　　　　 斉

　　　　 免許得て少年羽化のはじまりぬ　　　　　　 秀　子

　　　　 病室の抽斗机に雛の膳　　　　　　　　　　 郁　也

　　　　 あがらはぬ凡人になり春日浴ぶ　　　　　　 一　士

　　　　 跳ね上がり横とぶ雨や春疾風　　　　　　　 不　如

二月　　朱のコートウインドウーに写し華やげる　　 秀　子

　　　　妻授章赤薔薇褪せぬこのひと月　　　　　　 一　士

　　　　大寒やピカソは足をでかく描く　　　　　　 不　如

　　　　蝋梅にまばたく星の限りなし　　　　　　　渚　女

　　　　寒卵肩書き無くて発光す　　　　　　　　　 斉

　　　　 　　　一碗の寒九の水を飲み干せず　　　　　　　 郁　也

一月　　渓谷の風に絡まる蔦紅葉　　　　　　　　　 不　如

　　成人の日の髪に挿し花生き生き　　　　　　 渚　女

　　　　搗き過ぎの餅手に負えず溺愛か　　　　　　 秀　子

　 冬こもる星の配列そのままに　　　　　　　 斉

耐春や休耕地の草みな臥せる　　　　　　　 一　士

　 「印象」を実景で見る冬茜　　　　　　　 　 郁　也